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売上キープしつつ休日増、年収増で新卒応募者数が9倍に増えた企業 6月2023-社労士-

労働新聞令和5年5月22日号の衝撃的な記事 令和5年5月24日(水)社会保険労務士会研修会で配布された労働新聞に、興味深い記事が載っていました。 神奈川県で不動産・建築業を営む(株)建新。 3年前は休日も少なく、長期間労働・土日出勤は当たり前という業界イメージ通りの環境。結果、若い人材は定着せず平均年齢も高くなっていた ところ、法改正を睨み、働き方の見直しに着手した。 少しずつだが着実に進められたオリジナルな手法 “働き方改革”先行企業の事例によくある「選択制」や1日10時間労働への延長、月給を4/5にするなどのやり方は一切採っていない。 PC強制シャットダウン制度 などでダラダラ残業を防ぎつつ、 工程管理クラウド導入 で時短を実現。また休日については慎重に、 部署ごとに適切な曜日を週休2日制にして様子見 。労働時間を削減し、休日数を増やしても売上が減少しないことを確認すると、さらに 週休3日制へのチャレンジ を開始した。 1年間をテスト期間と位置付け、比較的残業の少ない社員に呼び掛けて 希望日に特別有給休暇を付与 。その後も対象者を増やしたり対象月を変更するなどして、業務遂行上の支障がないか、売上が減少しないかを確認。どちらも問題なく、従業員からも「自己研鑽に励める」など前向きな意見が多く聞かれるなど反応が良かったため、 月1回「週4日勤務」へ会社カレンダーを作り直した 。 気になるお金の面にも対応済 給与額についても減らないように、ちゃんと配慮されている。 減少した残業代は、ベアや初任給アップ、各種手当や賞与の増額などで社員に還元。結果、 年収は1~2割アップ となった。 人材確保も順調に 新卒採用に関しての エントリー数は急増し、前年比で9倍増 に。 一方、 退職者は激減し、離職率は1割以下に。平均年齢も30歳代後半に若返った。 まだ続く改善 現在の年間休日は132日と多いが「2030年には完全週休3日制へ移行する」という目標が掲げられている。専務によれば「休日数は徐々に増やしていく。売上を維持しながら、どのように実現していくかについて試行錯誤を重ねたい」との事。 3年間かけて地道にしかし着実に職場環境を見直し改善したことで、素晴らしい成果が出ている事例と思います。

在職老齢年金 | 令和5年度の支給停止調整額は48万円 5月2023-社労士-

 毎年見直される在職中の老齢厚生年金の支給停止ライン 会社の役員や従業員などが一定年齢に達すると、在職(厚生年金に加入等)しつつ年金を受給する権利が発生します。しかし受給の際に、 給与と厚生年金の合計額が多額になると、厚生年金が減額 されることがあります。 そのラインは令和4年度は47万円でしたが、 令和5年度は48万円へ改定 されています。 年金支給停止ラインの判定式 ところで、給与と厚生年金の合計額とは、実際にはどのように計算されるのでしょうか。 会社等は年金事務所へ「算定基礎届」や「報酬月額変更届」、「賞与支払届」等を提出しています。その届出に基づき自動的に計算される“標準報酬月額”や“標準賞与額”が判定に使われます。具体的には、その月現在の ①標準報酬月額(Max65万円) ②前1年間の標準賞与額(Max150万円/月)の合計×1/12 ③老齢厚生年金の月額 の合計が『給与と厚生年金の合計額』とされ、 ①+②+③が48万円を超えると年金が減額 されます。 どのくらい減額されるか 上記①+②+③>48万円の場合、 48万円をオーバーした金額の1/2だけ年金が減額 されます。 減額される金額(支給停止額)は毎月変動する可能性があります。理由は、①の標準報酬月額は随時改定される可能性があるため、また②は毎月1ヶ月ずつ集計期間がずれるため金額が変動する可能性があるからです。 支給停止額は年金事務所で自動的に調整され、会社や本人(役員・従業員)の手続は不要です。 なお、 減額された年金はその後支給されることはありません。 定年後の継続雇用者等への対応 定年後も続けて働く従業員がいる場合、在職老齢年金のしくみを知っていれば、年金を満額受給しながら、無理のない範囲で働き相応の給与を受け取ってもらうという事も可能かもしれません。 また、役員が該当することとなった場合にも、給与額の設定時に正しい知識をもとに在職老齢年金を考慮することで、想定外の事態になることを避けられるかもしれません。 年金減額されないことがすべてではありませんが 「こんなはずではなかった・・」などのトラブル防止 のためにも、該当する従業員がいれば適切な案内をしてあげると喜ばれるのではないでしょうか。 より詳細な説明を求められたり個別質問などがあれば、社労士や年金事務所等へ相談するとよいでしょう。

社宅家賃の適正額 5月2023-税理士-

社宅の提供はWinWinの制度 会社が役員や従業員に対して提供する住宅、社宅。社宅制度は、会社にとっても役員や従業員にとってもメリットのあるWinWinの制度になりえます。 社宅の提供はいわゆる現物給与ですが、定められた計算式等による適正家賃を徴収していれば非課税とされます。 自社所有物件でも借上社宅でも、活用できる可能性があります。 社宅のメリット [入居者] ・相場より 格安(10%~50%程度)の家賃負担 で給与課税無し ・『住宅手当』としてもらうと社会保険料・所得税・住民税の負担が増えるが、社宅という現物給与であれば社会保険料・所得税・住民税には原則影響しない。 [会社] ・社会保険料負担額の増加は原則無し ・従業員にとって家賃負担の軽減となりモチベーションアップにつながる。人材流出抑制効果も期待できる。 ・自社所有物件であれば、 所有に係る費用(各種税金、減価償却費、保険料、修繕費、借入金利息等)が損金 になる。 デメリット [会社]事務作業が煩雑 ・社宅規程作成(入居者条件、入居基準(役職や勤務年数の基準等)、家賃設定(自己負担割合)等を規定)・保管 ・賃貸借契約書(会社と入居者間)の作成・保管 ・給与計算で適正家賃を毎月天引き ・適正家賃は毎年見直し ・希望者が多い場合、不公平感が生じないよう配慮が必要 役員社宅 従業員社宅の適正家賃計算式は1つだけですが、役員社宅の場合は、建物の法定耐用年数や総床面積により3つの区分があり、状況によっては社宅の活用に制限があります(総床面積が一定ライン(99㎡)を超えると“小規模社宅”とは認められなくなり、適正家賃額が一気に高くなる等)。 けれども近年の新築マンションは100㎡以下が主流です。新築のSRC造マンションであっても99㎡以下の物件であれば小規模社宅と判定されるため、現実的にはかなり広い範囲の物件が当てはまり、自己負担賃料が最小限で済むというメリットを享受できる可能性もあります。 適正家賃スルーのリスク 従業員の場合、家賃の徴収漏れは源泉徴収漏れに直結し、遡って課税されると事務負担が重くなります。 さらに 役員の場合は、源泉税の問題だけでなく、徴収不足額を役員賞与認定されると法人では損金不算入となり、個人と法人のダブル課税となるリスク があります。 借上社宅の場合は市等で該当物件の固定資産課税台帳を入手し、...