在職老齢年金 | 令和5年度の支給停止調整額は48万円 5月2023-社労士-

 毎年見直される在職中の老齢厚生年金の支給停止ライン

会社の役員や従業員などが一定年齢に達すると、在職(厚生年金に加入等)しつつ年金を受給する権利が発生します。しかし受給の際に、給与と厚生年金の合計額が多額になると、厚生年金が減額されることがあります。

そのラインは令和4年度は47万円でしたが、令和5年度は48万円へ改定されています。

年金支給停止ラインの判定式

ところで、給与と厚生年金の合計額とは、実際にはどのように計算されるのでしょうか。

会社等は年金事務所へ「算定基礎届」や「報酬月額変更届」、「賞与支払届」等を提出しています。その届出に基づき自動的に計算される“標準報酬月額”や“標準賞与額”が判定に使われます。具体的には、その月現在の
①標準報酬月額(Max65万円)
②前1年間の標準賞与額(Max150万円/月)の合計×1/12
③老齢厚生年金の月額
の合計が『給与と厚生年金の合計額』とされ、①+②+③が48万円を超えると年金が減額されます。

どのくらい減額されるか

上記①+②+③>48万円の場合、48万円をオーバーした金額の1/2だけ年金が減額されます。

減額される金額(支給停止額)は毎月変動する可能性があります。理由は、①の標準報酬月額は随時改定される可能性があるため、また②は毎月1ヶ月ずつ集計期間がずれるため金額が変動する可能性があるからです。

支給停止額は年金事務所で自動的に調整され、会社や本人(役員・従業員)の手続は不要です。

なお、減額された年金はその後支給されることはありません。

定年後の継続雇用者等への対応

定年後も続けて働く従業員がいる場合、在職老齢年金のしくみを知っていれば、年金を満額受給しながら、無理のない範囲で働き相応の給与を受け取ってもらうという事も可能かもしれません。

また、役員が該当することとなった場合にも、給与額の設定時に正しい知識をもとに在職老齢年金を考慮することで、想定外の事態になることを避けられるかもしれません。

年金減額されないことがすべてではありませんが「こんなはずではなかった・・」などのトラブル防止のためにも、該当する従業員がいれば適切な案内をしてあげると喜ばれるのではないでしょうか。

より詳細な説明を求められたり個別質問などがあれば、社労士や年金事務所等へ相談するとよいでしょう。



コメント

このブログの人気の投稿

個人事業者の納税スケジュール 10月2024-税理士-

最低賃金R6.10月改正 9月2024-社労士-

フリーランス新法2024年11月1日施行 10月2024-社労士-