社宅家賃の適正額 5月2023-税理士-

社宅の提供はWinWinの制度

会社が役員や従業員に対して提供する住宅、社宅。社宅制度は、会社にとっても役員や従業員にとってもメリットのあるWinWinの制度になりえます。

社宅の提供はいわゆる現物給与ですが、定められた計算式等による適正家賃を徴収していれば非課税とされます。自社所有物件でも借上社宅でも、活用できる可能性があります。

社宅のメリット

[入居者]
・相場より格安(10%~50%程度)の家賃負担で給与課税無し
・『住宅手当』としてもらうと社会保険料・所得税・住民税の負担が増えるが、社宅という現物給与であれば社会保険料・所得税・住民税には原則影響しない。

[会社]
・社会保険料負担額の増加は原則無し
・従業員にとって家賃負担の軽減となりモチベーションアップにつながる。人材流出抑制効果も期待できる。
・自社所有物件であれば、所有に係る費用(各種税金、減価償却費、保険料、修繕費、借入金利息等)が損金になる。

デメリット

[会社]事務作業が煩雑
・社宅規程作成(入居者条件、入居基準(役職や勤務年数の基準等)、家賃設定(自己負担割合)等を規定)・保管
・賃貸借契約書(会社と入居者間)の作成・保管
・給与計算で適正家賃を毎月天引き
・適正家賃は毎年見直し
・希望者が多い場合、不公平感が生じないよう配慮が必要

役員社宅

従業員社宅の適正家賃計算式は1つだけですが、役員社宅の場合は、建物の法定耐用年数や総床面積により3つの区分があり、状況によっては社宅の活用に制限があります(総床面積が一定ライン(99㎡)を超えると“小規模社宅”とは認められなくなり、適正家賃額が一気に高くなる等)。
けれども近年の新築マンションは100㎡以下が主流です。新築のSRC造マンションであっても99㎡以下の物件であれば小規模社宅と判定されるため、現実的にはかなり広い範囲の物件が当てはまり、自己負担賃料が最小限で済むというメリットを享受できる可能性もあります。

適正家賃スルーのリスク

従業員の場合、家賃の徴収漏れは源泉徴収漏れに直結し、遡って課税されると事務負担が重くなります。
さらに役員の場合は、源泉税の問題だけでなく、徴収不足額を役員賞与認定されると法人では損金不算入となり、個人と法人のダブル課税となるリスクがあります。
借上社宅の場合は市等で該当物件の固定資産課税台帳を入手し、税務リスクのない適正家賃を毎年計算することが大切です。

実際の計算はどうするのか

国税庁HPタックスアンサー等に要件や計算式が載っていますが、ちょっと難しい・・と思ったら、以下の判定フローチャート、計算シートをご利用下さい。
計算シートはPC(Windows)へダウンロードしてから、土地建物の固定資産課税台帳等を見ながら入力して下さい。
(従業員用)
(役員用)




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