パートタイマーの年末調整 3月2023-税理士-

 2023.3月

パートは年末調整しない?
先月、市役所等での申告会を担当しました。毎年この時期に、市の申告つまり住民税の申告及び所得税の還付申告を主な対象として受付が行われます。
その際に今回、複数の方から「給与所得のみで1年間同じ一つの会社に勤めているが、会社がパートは年末調整しないと言ったので還付申告するために来た」と聞きました。
さて、その取扱いは正しいのでしょうか?


パートでもバイトでも対象者は年末調整が原則
給与計算では、正社員かパートかバイトかなどには関係なく、本人から提出された「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に基づき、毎月の給与から適当な源泉税額を天引きして本人へ給与支給し、源泉税は都度税務署へ納付しているはずです。源泉税はあくまでも仮引きで概算です。
そして年末に従業員1人1人について一定の範囲内での正確な再計算を行い、会社との間で1年間の所得税の精算を済ませる手続きが年末調整です。
よって、特に年末調整できない事情(前職の源泉徴収票の提出がない、扶養控除等申告書の提出がないなど)がある場合を除き、パートであることを理由に、天引きだけして年末調整しないことには問題があると思われます。


扶養控除等申告書についての説明もポイント
今回の相談者の場合、本人の状況(障害者・ひとり親・学生など)を扶養控除等申告書に正しく記入していれば、そもそも毎月の源泉徴収税額は発生せず、年末調整や確定申告の問題も起こらないというパターンでした。
扶養控除等申告書の書き方は、一般の従業員にとっては難しいと思われます。プライベートな事情を本人が自分の判断で記入しないならそれは自由ですが、それ以前に記入方法がわからないから記入していないだけ、というのが現状のようです。記入すれば源泉徴収されなくなるor源泉徴収税額が減ると知れば、正しく記入する人も多くなるかもしれません。また、それにより会社の担当者の事務負担も軽減されます。
一言アドバイスをすることにより、お互いにメリットを享受でき、会社への信頼度も増すのではないでしょうか。少しだけ煩雑な業務かもしれませんが、ぜひご検討ください。

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