就労調整のツボ 12月2024-社労士-
壁を超えたら何が起こる?
12月に入り、経営者や経理担当者がパートタイマーorアルバイト従業員から、今話題の“年収の壁”について「壁を超えたくないので就労調整したい」などの相談を受ける機会があるかもしれません。
が、さて、そもそも壁(その年収を超えたらパート・バイト本人orその家族に大ダメージが発生すると言われているライン)は本当に存在するのでしょうか?
結論から言うと、壁はレアケースでしか発生しません。
けれども、就労調整する必要の無い従業員までもが「複雑でよくわからないから、とりあえず壁(103万円など)までにしておこう」くらいの感じで就労調整しているというパターンが散見されるようです。
繁忙期の12月、年末にかけて、従業員から壁について相談を受けた時、正しい知識があればシフト調整に悩まされずに済むかもしれません。
それでは、あるある相談ごとに内容を見てみましょう。
「103万円の壁を超えたくない」と言われたら
本当に103万円の壁がある人とは・・・
・配偶者(夫など)の勤務先から103万円基準で配偶者(扶養・家族)手当が出ているパート従業員等
・親に扶養されている学生アルバイト等
であり、レアケースと思われます。
よって、このフレーズを言われたら、まずは「あなたの配偶者の勤務先から手当が出ているか?」や「あなたは親の年末調整等の扶養に入っているか?」を確認し、該当しない場合には就労調整しても意味が無いことを説明し納得してもらえれば、シフト調整しなくて済む、という状況になります。
詳細はこちらをどうぞ。
「106万円の壁を超えたくない」と言われたら
これはそもそも社保加入者が51人以上の会社等の話です。社保加入者が50人以下の会社等の従業員には、106万円の壁自体、存在しません。
さらに、社保加入者が51人以上の会社等の場合であっても、106万円を超えないかは残業代は含まず当初の契約内容から計算するため、このフレーズが出る場面は今のタイミングではなく雇用契約締結時(就職した時など)のはずです。
つまり、今から就労調整しようがしまいが、従業員本人の社保加入判定には影響しないので、調整は不要(というか無意味)と言えます。
「130万円の壁を超えたくない」と言われたら
いわゆる“社保の扶養”に入ることができる給与年収は130万円とされています。
ですが、おそらく先月あたり協会けんぽから会社等へ届いている「被扶養者資格再確認」の書類に案内があったと思われますが、一時的な収入増であれば扶養継続可能とするなど、130万円のラインはアバウトで流動的です。
「今年の給与を何が何でも130万円以内にしなければ、即、社保の扶養をはずれる」というようなものではありません。
詳細はこちらをどうぞ。
シフト調整する前に
現在、従業員から求められシフト調整に悩まされているとしたら、それは時間と労力のムダかもしれません。
パート・バイト従業員&その家族の個々の事情の確認は必要ですが(もしかしたらレアケースに該当し、本当に就労調整すべきかもしれないため)、昔々のイメージだけの103万円ラインなどに従業員ともども巻き込まれないように、一度、落ち着いて検討してみることをお勧めします。
個々のケースについて不安な時は、社労士等に相談するとよいでしょう。
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