マンション評価額の新ルール案 8月2023-税理士-
低すぎるマンション評価を補正する新算定ルール
マンションの実勢価格(実際に売買される値段)と相続税評価額が大きく乖離していることが問題視され、いわゆる“マンション節税”防止を目的としたマンション評価額の算定ルール見直し案が公表されています。
これまでマンション評価に使われていなかった「築年数」「総階数(総階数指数)」「所在階」「敷地持分狭小度(土地持分面積/部屋延床面積)」という4つの指数を取り入れた算式で評価乖離率(実勢価格と相続税評価額がどのくらいかけ離れているか)を求め、乖離率が1.67超であれば増額補正が必要と判定し、『現行の相続税評価額×評価乖離率(市場価格理論値)×0.6』で評価することとしています。
低すぎるマンションの相続税評価額(全国平均で時価の4割程度)を、時価の6割程度(一戸建の平均)まで引き上げようとするものです。
評価乖離率の算式の意味するところは・・
評価乖離率=築年数×△0.033+総階数指数×0.239+所在階×0.018+敷地持分狭小度×△1.195+3.220
評価乖離率を求める算式は、細かい小数とプラスマイナスが入り乱れ、非常に複雑に見えます。さて、この算式にはどんな意味があり、どのような場合に乖離率が高くなる(評価額が今より高くなり税額も上がる)のでしょうか?
新しいほど、タワマンであればあるほど、所在階が高いほど、評価乖離率が高くなりやすいと言えます。
ただしこの算式では、いわゆるビンテージマンション(古くて高層でないが高額取引される物件)は乖離率が低めに出て新ルールの対象外となるのでは、という指摘もあるようです。
また、今回の見直し案では一棟買いのマンションは対象外であり問題が残る、とも言われています。
評価が下がることもある
もともとはタワマン節税防止目的で導入されることとなったルールですが、タワマンに限定されるものではなく、一般的なマンションやワンルームマンションであっても、新ルールに当てはまれば増額補正となる可能性があります。
一方、条件によっては、新ルールのもとでは今より相続税評価額が下がる場合もありえます。それは評価乖離率が1.0未満となる場合です。具体的には、今の評価方法では実勢価格より相続税評価額の方が高くなってしまっているマンションです。その場合は、『現行の相続税評価額×評価乖離率(市場価格理論値)』が新しい評価額となります(減額補正)。ゆったりと建築されている郊外型低層マンション等が該当すると思われます。
適用時期
現在(~令和5年8月20日まで)パブリックコメント実施中でその後に通達を定めることが予定されており、新ルールは令和6年1月1日以後に相続等or贈与により取得したマンションに適用するとされています。
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