インボイス制度スタート 10月2023-税理士-

インボイス登録した事業者と様子見の事業者


今月(令和5年10月)から、消費税のインボイス制度がスタートしました。今回、消費税の課税事業者の9割、免税事業者の2割程度がインボイス登録を済ませたと報道されています。

免税事業者にとっては、インボイス登録するかの判断には、まず消費税のしくみを理解しなければならず、なかなかハードルが高くなっています。

もしまだ悩んでいるなら、一度は税理士等(税理士、商工会等、税務署の無料相談もあり)へ相談することをお勧めします。理由は、インボイス相談を受けていると、誤った情報を信じて不安になっている場合もあるなど、一度思い切って専門家に個別相談すればスッキリすると思われる事例が多いからです。また、消費税にはさまざまな選択や届出がありますが、その内容は複雑で、いわゆる落とし穴的なものもあるなど、自己判断は困難かつ高リスクだからです。

インボイス登録はしたけれど

もともと消費税の課税事業者であったなら、経理業務が煩雑にはなりますが、消費税の申告・納付は初めてではなく、消費税について何をどうすればよいのかサッパリわからない、などという事はないと思われます。

けれども今回インボイス登録するために課税事業者になった(これまでは免税事業者だった)という場合は、「インボイス登録はした。で、一体これから何をどうすればよいのか・・?」という不安があるのではないでしょうか。

インボイスで免税→課税なら2割特例

そのような“消費税は初めて”の事業者向けに、消費税の計算を簡単にできる特例が準備されています。

まず、インボイス登録したからには、自己の売上についてのインボイス(インボイス登録番号を記載するなどの要件を満たす請求書等)を発行し、控えを保存する義務があります。

そして原則は、経費(仕入や諸経費)についても、今度は受取ったインボイス(相手の登録番号等のある請求書等)をもとに必要な経理処理をし、保存しなければなりません。この経費側の事務処理に負担軽減策はありますが、それでも実務は複雑で、かなりの負担増が予想されます。

けれどもそのような経費側のインボイスは計算には使わない、つまり全く気にしなくてよい、というのが「2割特例」です。売上に係る消費税(仮受消費税)の2割を納付すればよいという特例です。たとえば年間課税売上高(税率10%)が税抜800万円だったなら、800万円×10%=80万円が仮受消費税なので、80万円×2割=16万円が納付額となります。

2割特例はずっと使えるものではなく、経過措置(期限のある特例)です。個人事業者の場合、令和8年分の消費税申告までMax4回使える可能性があります。

ケースバイケースなので都度相談がベスト

当面、さまざまな経過措置で乗り切ったとして、その後はとうすればよいのでしょうか?

2割特例で言えば、令和9年分以降は消費税の「簡易課税」制度へ移行するなど、事務負担を少なくする方法はあります。けれども「簡易課税」にも注意すべき点がいくつかあります。事業者の状況によっては安易に「簡易課税」を選択すると不利になるケースもあり、場合によっては多大な損失を被ることもあります。

損失って何か?と言うと、たとえば、簡易課税は2割特例と同じような計算で消費税の納付額を出すため、多額な設備投資等をした年には“簡易課税でなければ消費税の還付が受けられたのに、還付どころか納付しなければならない”という事態になるなどです。

何かしらの税務判断をする前には、その都度、税理士等へ個別相談をするのがべストです。




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