労災保険 1月2024-社労士-
労働者を1人でも雇ったら労働保険加入義務
自分ひとりで事業を行うのではなく、労働者を雇っている場合には、雇用形態にかかわらず(パート・アルバイト・派遣等でも)また人数にもよらず(労働者が1人でも)労働保険の適用事業となります(農林水産の事業の一部は除く)。
よって事業主は、労働保険の成立手続を行い 、労働保険料を納付しなければなりません。
「労働保険」とは、労災保険(労働者災害補償保険)と雇用保険の総称です。
それぞれ、何のためのどのような保険なのでしょうか?
労災保険とは
労働者が仕事(業務)や通勤が原因で負傷した場合、また、病気になった場合や亡くなった場合に、被災労働者や遺族を保護するための給付等(療養補償給付や労災年金等)を行う保険です。
労働者の仕事上のケガなどについては、本来は労働基準法上、療養(治療など)のために必要な費用を負担するなどの補償(災害補償)責任は、事業主にあるとされています。しかし、大きな事故などにより一度に多額の補償をしなければならなくなった場合、一事業主単独では十分な補償ができないケースも考えられます。
たとえば労働基準法で定める災害補償金額は、障害補償であれば最高で平均賃金の1,340日分にもなります。よって、事業主は労災保険へ加入して保険料を支払い、いざという時には国が事業主の災害補償責任を代行することとしたのが労災保険です。
労災保険は、パート・アルバイト等の短時間労働者であっても、労働者であれば対象となります。
たとえば仕事中にケガをしたら、治るまで無料で療養(治療、入院等)を受けられます。
また一定期間働けなくなってしまった場合の休業補償給付、障害が残った場合の一時金や年金なども用意されています。
保険料は、全額事業主負担です。
労災保険料は、全ての労働者に支払った賃金総額(年度計)に保険料率をかけて算出します。
事業の種類ごとに保険料率が定められており、たとえば小売業であれば3/1000です。
雇用保険とは
労働者が失業した場合や働き続けることが困難になった場合、また自ら教育訓練を受けた場合に、生活・雇用の安定と就職の促進を図るための給付等(失業保険等)を行う保険です。
雇用保険は、一定の要件(週の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用見込等)を満たす労働者であれば対象となります。
保険料は、事業主と労働者双方で負担します。
雇用保険料は、賃金額に保険料率をかけて算出します。
事業の種類ごとに保険料率が定められており、一般の事業であれば事業主9.5/1000、労働者6/1000、合計15.5/1000となっています。
労働保険の成立手続
労働保険の適用事業となったら(労働者を1人でも雇ったら)、労働保険の「保険関係成立届」を所轄の労働基準監督署orハローワークへ提出しなければなりません。
その後、労働保険料を年度ごとに計算し、概算保険料を申告・納付することとなります。
事業の存在を確認する場合があるため、必要資料を事前に電話等で問い合わせてから行くとよいでしょう。
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