初めての消費税申告 2月2024-税理士-
インボイスのために登録したとき
「年間売上1,000万円なんて全然いかないが、取引先との関係上の理由などでやむなく今回(令和5年10月1日から)インボイス登録した」という個人事業者にとって、今回(令和5年分)が初めての消費税申告です。
これまでは所得税の申告だけしていればよかったが、令和5年分の確定申告からは、消費税の申告もしなければなりません。
「消費税の申告って・・・・?」と不安な方も多いのではないでしょうか。
今回は3ヶ月分だけの消費税
これまで全く消費税に縁が無く、税務署へ消費税関係の届出などもしていない個人事業者が、令和5年10月1日からインボイス登録しているとします。
その場合、今回の消費税申告では、令和5年10月分から12月分の売上や経費を集計し、そのうち消費税に関係するものだけを対象として計算し、納付する消費税額を出します。
2割特例とは
経費については、所得税計算では経費にならないものと言うと「プライベートな支出などかな?」と頭に浮かぶかもしれません。
所得税ではそれは正しいのですが、消費税計算では、所得税のたとえば青色申告決算書で経費の欄へ金額が入っていたとしても、それらがすべて経費分として引ける訳ではありません。
消費税法で決められた、引けるものだけ引ける(たとえば給料賃金や租税公課、減価償却費などは引けない)ことになります。
この経費は引けるのか?をいちいち考えなければならず、煩雑です。
その事務負担を減らすべく、インボイス絡みの緩和措置もありますが、それに該当するかチェックするのもまた煩雑です。
そこで準備されたのが2割特例です。
使えるのは令和8年分までという期限付きの特例ではありますが「初めての消費税申告に、経費まで考えるのは無理」という場合、経費はスルーして、売上だけから、その預り消費税の2割を納付するならその申告でOKとしたものです。
2割特例のポイント
「10月~12月の3ヶ月の売上を合計したらいいだけか!簡単~」と思ったアナタ。
一応、チェックすべきポイントがあります。
それは、現在どのような管理をしているかによらず(手書きでも会計ソフト入力していても)その合計額が本当に10月~12月分の売上なのか?の確認です。
入金ベース(入金日に売上計上、通常は決算まではこれが多い)や請求ベース(売上先へ請求書を出した日に売上計上)でなく、“令和5年10月1日~12月31日にして終わった仕事”の金額を売上として計算しなければなりません。
何が言いたいかというと、「その期間に仕事はして終わったが“まだお金をもらっていなかったから”とか“まだ請求書を出していなかったから”売上にカウントしなくていいよね?」というのはNGで、入金がなくても、請求書を出していなくても、売上とすべきものは売上としてカウントしなければならないという事です。
また逆に、10月に入金している売上が9月にした仕事分であれば、集計しないよう注意が必要です(集計すると多すぎる)。
売上とすべきものとは
では、仕事をして終わる、って何?かですが、物品販売等ならその物品を引き渡すこと、請負業なら請負った仕事を完了すること(完成品があるならそれを引き渡すこと)、役務提供サービスなら役務完了することで、その日に売上計上すべきとされています。
役務完了引渡基準などと言ったりします。
詳細で悩んだら相談を
10月~12月に多額な経費があったなど、「2割特例でいいのかな?」と悩んだ時は、税理士に相談するとよいでしょう。
コメント