労働条件通知書の記載事項の改正 3月2024-社労士-
労働条件通知書とは
労働条件通知書とは、給与や労働時間等の労働条件を記載した書面のことです。
会社等が労働者を雇入れた際には「労働条件通知書(or雇用契約書等)」を労働者に交付する義務があります。
労働契約締結にあたり労働条件を明示することで、労働者は自分の労働条件を知ることができ、安心して働くことができます。トラブル防止の観点からも、労働条件の明示(労働条件通知書等の交付)は契約締結時つまり働き始める前に、原則書面で交付することとされています。(メール・SNS等での明示は、労働者が希望した場合のみOK)
交付の対象は、正社員・パート・アルバイト・有期雇用を問わず、その会社等で働く全ての労働者です。
会社等が交付義務を果たさなかった場合は、ペナルティ(30万円以下の罰金)があります。
絶対的明示事項(必須の記載事項)
全ての労働者に対する必須の記載事項は次の6つです。
①労働契約の期間
②有期雇用契約の更新基準
③就業場所及び従事すべき業務
④始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩・休日・休暇・シフト制に関する事項
⑤賃金に関する事項
⑥退職に関する事項
なお、有期雇用や短時間労働者に対しては、以下の事項も記載が必要です。
・昇給の有無
・退職手当の有無
・賞与の有無
2024年(令和6年)4月からの改正事項
来月、2024年(令和6年)4月1日以降の労働契約締結(入社や更新等)に際しては、法令改正により、労働条件明示事項が追加されます。
全ての労働者に対しては、絶対的明示事項③について、雇入れ直後の就業場所と従事すべき業務のみならず、将来、配置転換などにより変わりうる就業場所と従事すべき業務の変更の範囲を記載することとなりました。
将来は不明な場合であっても、記載無しは配置転換無しであるとの誤解を避けるため、たとえば場所の変更の範囲:会社の定める営業所、業務の変更の範囲:会社の定めるすべての業務、などと記載しておくのがよいかもしれません。
有期雇用の労働者に対しては、
・更新上限の有無及び内容
・無期転換申込権が発生する更新のタイミングごとに、無期転換を申込むことができる旨
・無期転換申込権が発生する更新のタイミングごとに、無期転換後の労働条件
を追加記載することが必要となります。
ちなみに無期転換とは、有期労働契約が通算5年超となる場合、労働者が申込みをすれば無期労働契約へ転換できるというルールです。転換後の労働条件は、契約期間が無期になる以外は原則、従前と同一とされています。
法改正の背景
昨今は、多様な正社員(勤務地限定正社員や職務限定正社員)など、さまざまな新しい働き方が生まれており、そのような労働者全般について雇用ルールを明確化すべく、記載事項の追加変更がされました。
また、有期雇用労働者においては単に無期転換申込権を行使できることを知らず有期契約を繰り返している現状を踏まえ、労働者の理解を促進するため、記載事項の追加がされました。
求人票にも記載事項追加が必要
今回の労働基準法改正は職業安定法にも影響し、求職者等に対し
・就業場所及び業務の変更の範囲
・有期労働契約の更新上限
が、明示すべき労働条件に追加されました。
求人広告を出す段階から、改正後のルールに従っているか、労働条件の記載事項に留意する必要があります。
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