試用期間 6月2024-社労士-

試用期間とは


試用期間(試みの使用期間)とは、使用者(会社等)が労働者を本採用する前に、労働者の適性を評価・判断するために会社等が設ける期間のことです。

試用期間の長さについては、法律上特に規制はありません。
一般には3ヶ月程度の期間が設定されることが多いようです。

試用期間中の給与

試用期間中の給与を本採用後より低く設定することは、最低賃金を下回らない金額であり、労働条件通知書等で労働者に明示していれば、法(最低賃金法・労働基準法)違反とはなりません。

なお、残業させた場合は当然に、法定の残業代の支給が必要です。

労働保険(雇用・労災)の取扱い

“試用期間だから労働保険(雇用・労災)に加入しなくてよいか?”というと、そのようなことはなく、働き始めた日から加入する義務があります。

つまり、いわゆる正社員を新たに採用する時、試用期間を設けても設けなくても、労働保険の取扱い(加入のタイミング)は同じということです。

会社等が加入の届出をしない場合等には、ペナルティ(6ヶ月以下の懲役or30万円以下の罰金)があります。

社会保険(健康保険・厚生年金)の取扱い

“試用期間だから社会保険(健保・厚年)に加入しなくてよいか?”というと、そのようなことはなく、働き始めた日から加入する義務があります。

つまり、いわゆる正社員を新たに採用する時、試用期間を設けても設けなくても、社会保険の取扱い(加入のタイミング)は同じということです。

会社等が正当な理由なく加入の届出をしない場合等には、ペナルティ(6ヶ月以下の懲役or50万円以下の罰金)があります。

試用期間を設けるメリット

給与は少なめでよいかもしれないが、労働保険・社会保険には当初から加入するなら、試用期間はあってもなくてもあまり変わらないのでしょうか?
そんなことはありません。

試用期間を設ける趣旨は、労働者の適性を判断する時間的余裕を作り、本採用後にミスマッチが判明するリスクを軽減することです。
問題無く本採用へ移行できれば良いですが、中には、実際に働き始めると何かしら継続雇用は難しいと判断せざるをえない問題が発覚する場合も想定されます。
問題とは、例えば重大な経歴詐称、勤怠や勤務態度の不良などが挙げられます。

そのような困った事態となった時、試用期間内かつ入社から14日以内であれば、会社等は即時解雇(本採用拒否)をすることができる、とされています。

14日で見抜けるか?という問題はありますが、本採用拒否は解雇であるにもかかわらず、通常なら求められる解雇予告等(解雇予告手当・30日分の賃金支払)は不要で、継続雇用を止めることができます。

就業規則は必須

試用期間は法律によって義務付けられているものではなく、設けるかは会社等の任意です。
よって、試用期間を設けるのであれば、その日数や短縮・延長の有無などの具体的内容について、就業規則に定める必要があります。

試用期間について想定される様々な事態に対応し、かつ労務トラブルを防止するために、就業規則の内容はできるだけ詳細に定めておくと安心です。

「試用期間、設けてみようかな。でも就業規則の記載内容ってこれで大丈夫だろうか・・?」と心配な時は、社労士へ相談すると良いでしょう。




コメント

このブログの人気の投稿

個人事業者の納税スケジュール 10月2024-税理士-

最低賃金R6.10月改正 9月2024-社労士-

フリーランス新法2024年11月1日施行 10月2024-社労士-