少額飲食費の基準が1万円へ倍増 8月2024-税理士-

法人の交際費損金算入額には上限がある

個人事業者であれば、ある支出がいわゆる経費になるかならないかのラインは、事業に関係しているか・事業のために必要か、ということです。
そして交際費についても問題になるのは内容であり、金額上限などはありません。

これが法人になると、交際費について、損金算入額(税金計算上も認められる金額)には一定の上限が決められています。
上限はいくつかありますが、資本金1億円以下の法人の場合、原則、年800万円が一つの上限です(定額控除限度額)。
上限を超えて交際費を支出した場合、超えた分については税金計算上のメリットはありません(接待交際にそれ以上お金を使っても税金は1円も安くならない)。

少額飲食費は交際費からはずせる

たとえば資本金1億円の法人は、交際費が年800万円以下なら全額損金算入できるので、「交際費に年800万円!?そんなに使わないよ」という法人であれば、べつに・・・という話ではありますが、超えそうな場合、“内容は交際費なのだが、要件を満たす少額飲食費であれば交際費としてカウントしない”という規定があります。

交際費のカウントからはずすためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
社外の人との飲食であること、通常の証憑管理に加え参加者等を記録し保管すること、一人当たりの金額が一定額以下であること等です。

改正されたのは一人当たりの金額

少額飲食費を交際費から除外するという規定はこれまでもありましたが期限を迎えようとしていたところ、令和6年度税制改正で適用期限が3年間延長されるとともに、いくつかある要件のうち「一人当たりの金額」が5千円から1万円へ引き上げられました(倍増)。

少し注意が必要なのは、改正は令和6年4月以降に支出した飲食費に適用されるので、それより前の飲食については従前の5千円基準が適用されるという事です。
たとえば令和6年3月に社外の人を飲食接待したとして、支出額を参加者人数で割って1万円だったならば、交際費からは除外できない(交際費としてカウントしなければならない)という事です。

実務上の金額判定は煩雑

5千円とか1万円とかは税込なのか税抜なのか?
と言うと、それはその法人の経理方法によります。
税込処理をしている法人であれば税込金額を人数で割り、税抜処理をしている法人であれば税抜金額を人数で割ることとなります。

ところで令和5年10月からのインボイス導入により、税抜処理の場合は金額判定が煩雑になっています。
すべてがインボイスであれば問題ないのですが、そうでなく経過措置の仮払消費税80%控除などの場合には、控除できない20%等の消費税を本体価額に加算して一人当たりの飲食費が基準(5千円or1万円)以下かを判定しなければならないからです。

さらに、消費税率はほぼ10%かと思われますが、内容によっては軽減税率8%のこともあるかもしれません(取引先イベントへの差入弁当など)。

疑問は随時解決しながら正しい処理を

定額控除限度額(年800万円)を超えそうな場合、少額飲食費の除外ができれば税務上のメリットがあります。
上記のとおり、実務はかなり煩雑なので事務負担増の程度も考慮すべきかもしれずケースバイケースですが
・自社は税込処理なのか税抜処理なのか
・消費税率は10%か軽減8%か
・領収書等はインボイスなのかそうでないのか、その取扱いは(経過措置等)
などを理解した上で処理することが求められます。

面倒なので後でまとめて・・は困難(と言うかほぼ不可能)と思われます。
疑問点は随時税理士等へ質問・相談しながら方針を決め、対応するのがよいでしょう。





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