フリーランス新法2024年11月1日施行 10月2024-社労士-

フリーランスへ業務委託するときの新ルール

業種・業界を問わず、また発注者の規模にかかわらず、事業者がフリーランスへ業務委託するとき守るべきルールを定めたフリーランス新法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)が来月1日から施行されます。

フリーランス新法は、これまで労働基準法等の労働関係法令で保護されなかったフリーランスを保護する法律です。施行日以後、発注者である事業者側には、フリーランスへの業務委託の際に、いくつかの義務が課されます。よって、該当する取引が想定される場合には準備が必要です。

なお、実効性を高めるため、罰則規定も設けられています(命令違反や検査拒否などには50万円以下の罰金等)。

フリーランスとは

まず、この法律におけるフリーランスとは、従業員を雇用しておらず、一人で収入を得るために委託者(発注側の事業者)との間で請負契約や業務委託契約を締結して仕事を受注している者(個人事業者or一人社長)と定義されています。

業務委託パターンごとに義務の数がちがう

事業者(発注者)とフリーランス(受注者)との力関係のバランスや、契約期間の長短により、課される義務の数が異なります。

フリーランスへの業務委託をする全ての発注者に課される義務は1つだけで、「取引条件の明示義務」です。これだけは、フリーランス同士の取引であっても発注者に課されます。

発注者が従業員を雇用している事業者、すなわちフリーランス以外の場合には、上記に加え、さらに3つの義務が課されます。「期日における報酬支払義務(60日以内の支払)」「募集情報の的確表示義務(虚偽表示禁止等)」「ハラスメント対策に係る体制整備義務(セクハラ・マタハラ・パワハラ対応)」です。

そしてこの場合に、契約期間が1ヶ月以上であれば「発注事業者の禁止行為(買いたたき等7つ)」が定められており、契約期間6ヶ月以上になると「育児介護等と業務の両立に対する配慮義務(申出への対応)」「中途解除等の事前予告・理由開示義務(30日前予告等)」も加わります。

取引条件の明示義務

それでは、フリーランスと取引する全ての事業者の義務「取引条件の明示義務」を果たすには、具体的に何をどうすればよいのでしょうか?

取引条件の明示とは、取引条件のうち一定の事項(明示すべき事項)について、口約束ではダメで、書面orメール、SNSのメッセージ、チャットツール等で文字化することとされています。

明示すべき事項は以下のとおりです。
①発注事業者とフリーランス、それぞれの名称
②発注事業者とフリーランスとの間で業務委託をすることを合意した日
③フリーランスにお願いする業務の内容
④いつまでに納品するのか(納品期日)、いつ作業をするのか
⑤どこに納品するのか、どこで作業をするのか(場所
報酬はいくらか、支払日はいつか
また、ケースにより追加で必要となる事項もあります(現金以外の方法で支払う場合は支払方法等)。

なお、交付するのは「契約書」でなくても大丈夫です。たとえば「発注書」であっても、取引内容に応じて適切な明示事項が記載されていれば問題ありません。様式も自由です。

パンフレットやQ&A

フリーランス新法について、様々な情報がネット上にも見られますが、正確な詳細を知りたい時は、厚生労働省等のパンフレット「ここからはじめるフリーランス・事業者間取引適正化等法」や厚生労働省のQ&A「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律Q&A」が有益と思われます。

パンフレットには、たとえば「期日における報酬支払義務(60日以内の支払)」の日数カウントのしかたや、「発注事業者の禁止行為(買いたたき等7つ)」の法違反となる具体例なども、カレンダーやわかりやすいイラスト付きで記載されています。

それでもなお自分の場合どうするべきかわからない、という時は、社労士等へ相談するとよいでしょう。


















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