令和6年分の年末調整 | 年調減税のツボ 11月2024-税理士-
定額減税の影響でさらに煩雑に
そろそろ従業員等へ、年末調整関係書類を、書き方案内等とともに配布する時期となりました。
今回の年末調整関係書類は、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(マル扶)、保険料控除申告書(マル保)、そして基礎控除兼配偶者控除等兼年末調整に係る定額減税兼所得金額調整控除申告書(基・配・所)です。
基・配・所は、タイトルに“定額減税”が加わって長くなり、記入欄にもあちこちに“定額減税”の文字が散らばっています。年末調整はもともと煩雑ですが、1回限りとはいえ、この定額減税の影響で、今回の年末調整はさらに煩雑になることが予想されます。
11月に入った今、初めての定額減税絡みの年末調整に向けて、年調減税の内容を大まかにでも把握しておけば、大きな不安なく年末の繁忙期を乗り切れるのではないでしょうか。
さて、年調減税(年末調整での定額減税)のツボは・・・
対象者は誰か
月次減税(6月以降の給与を通じての定額減税)の対象者は、6月1日現在勤務中の甲欄適用者全員(高額所得者含む)でしたが、年調減税の対象者は誰でしょうか?
答えは、年末調整の対象者のうち、令和6年分の合計所得(見込額)が1,805万円以下の人です。給与以外の収入(所得)もある場合は合算して判定するため、基・配・所の左側(基礎控除申告書)の「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」を正しく記入してもらい、まずは年調減税の対象者かを確認する必要があります。
年末調整対象者ではあるが、年調減税(定額減税)対象者ではない、というパターンもありえます。
配偶者
基・配・所の中央あたりの「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額」を正しく記入してもらい、合計所得が48万円超の場合には、年調減税においては人数にカウントできません(配偶者分の3万円は控除できない)。
所得の確認自体はいつもの年末調整準備と同じ作業ではありますが、6月現在で見積もっていた所得と同額とは限らないことが年調減税額にダイレクトに影響してくるため、「所得」の理解が正しいかなどについてのサポートが、例年以上に大切と思われます。
扶養親族
マル扶(令和6年分)の「控除対象扶養親族」だけでなく、下部に記入してある「16歳未満の扶養親族」(いわゆる年少扶養親族)も、定額減税においてはカウントします。
見落とさないよう注意が必要です。
なお、月次減税スタートの6月の現況からの異動(子が生まれるなど)がないかにも注意が必要です(月次減税は開始後6~12月の異動は無視だが、年調減税ではたとえば生まれた子があればカウントに加えるなどのため)。
個別相談を
用紙への記入方法は例年以上にややこしく、一般の従業員等にはハードルが高いと思われます。また、定額減税と扶養控除の対象者の不一致は認められないなど、ケースによっては慎重に判断すべき内容もあります。
個別の疑問が生じた時には、税理士等へ相談するとよいでしょう。
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