給与支払報告書と定額減税 12月2024-税理士-

年末調整後も煩雑

会社等では現在、年末調整関係書類の回収が完了しつつあり、計算準備中かと思われますが、年調減税(定額減税)を乗り切った後には、給与支払報告書(源泉徴収票)の作成が控えています。そして、これもまた年末調整と同じく定額減税の影響で、記載事項がさらに増え煩雑になっています。

給与支払報告書の提出期限は来月末(令和7年1月31日)ですが、従業員等へ同じ内容の「令和6年分給与所得の源泉徴収票」を交付するのは、それより早い時期(早ければ12月中)です。

年末調整関係事務一式を外部へ依頼するのでなく自社等で行う場合、給与計算ソフトを使用するとしても、記載事項等について概略を理解しておくと安心です。大まかにでも内容を知っていれば、ミスがあれば気付く事ができるかもしれません。また、従業員からの質問に迅速に対応できるというメリットもあります。

記載事項

定額減税絡みで「令和6年分給与所得の源泉徴収票」の(摘要)欄へ記載しなければならない事項は、以下の3点です。
源泉徴収時所得税減税控除済額
日本語なのか?と思ってしまいますが、これは何かと言うと・・・
個人ごとに異なる、本人(従業員)の確定した“定額減税額”のうち、年末調整において年調所得税額(源泉徴収簿の㉔欄の金額)から実際に控除した年調減税額を記載します。
年末調整で実現できた(控除することができた)減税額です。
控除済額はその人の今年の年調所得税額がMaxなので、定額減税額全額が引ききれるとは限りません。仮に住宅ローン控除額の影響で年調所得税額がゼロの場合はゼロからは何も引けないので「源泉徴収時所得税減税控除済額 0円」と記載することになります。
控除外額
本人の定額減税額のうち、年末調整では控除しきれなかった金額(減税未完額)を記載します。
①+②=確定した定額減税額となります。年末調整で全額控除できた場合は「控除外額 0円」と記載します。反対に、上記住宅ローン控除額がある場合などは、定額減税額の全額が「控除外額×××円」となることもあります。
非控除対象配偶者減税有
これもどこか他の国の言葉のようですが・・・・日本語です。
これは該当がある場合のみ記載します。
該当する場合とは、合計所得金額が1,000万円超の本人について、同一生計配偶者(所得48万円以下)を定額減税のカウントに入れた場合です。
合計所得金額が1,000万円超の人には配偶者控除も配偶者特別控除も適用できませんが、定額減税は合計所得金額が1,000万円超であっても1,805万円以下ならできるため、このような変則的な名称が生まれています。

年末調整をしない場合

何らかの事情で年末調整未済の源泉徴収票を作成するときは、定額減税について摘要欄への記載は不要です。
月次減税はしているかもしれませんが、それは源泉徴収票の源泉徴収税額に反映されており、そのままでOKです。そのままとは、毎月、月次減税額を控除して源泉徴収していた税額の合計額ということです。

あとは市町村で対応

定額減税すべき金額が、所得税額や住民税額(所得割)から引ききれない、つまり減税不足額が残ってしまう場合は、その差額を市町村が給付することとされています。
給付はすでに令和5年分の情報から見込みで仮計算され令和6年にも行われていますが、令和6年の実態が前年と変動しているなどの場合には、不足があれば追加給付がされることとなっています。

市町村への定額減税に係る正しい情報提供という意味でも、摘要欄への記載には注意が必要です。





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