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令和7年度税制改正 4月2025-税理士-

所得税減税 令和6年分は「定額減税」があり、所得税3万円/人、住民税1万円/人の減税が何らかの形で(サラリーマンなら源泉徴収・年末調整、個人事業者なら予定納税・確定申告で・・など)行われましたが、これは1年限りで終了しました。 それでは今年(令和7年分)の所得税は一体どうなるのでしょうか? 所得税については、定額減税がなくなって元に戻る、というワケではなく、 令和7年度税制改正 で、 定額減税ほどではないが減税効果のあるしくみ が適用されることとなりました。 さて、その内容はどのようなものなのでしょうか。 基礎控除額のアップ 合計所得2,350万円超(給与収入のみなら2,545万円超)の高額所得者については、改正の影響はありません。 基礎控除額 がアップするのは、合計所得2,350万円以下(給与収入2,545万円以下)の人で、従前の48万円から10万円増の 58万円 となります。 さらに「基礎控除の特例」により、 合計所得132万円以下(給与収入200万円以下) なら上記58万円+37万円= 95万円 が基礎控除額となります(恒久措置)。 そして令和7年・8年分の2年限りの「基礎控除の特例」として、合計所得132万円(給与収入200万円)を超えても 合計所得655万円(給与収入850万円)以下 であれば、 88万円or68万円or63万円 の3段階の基礎控除額が適用されます。 給与所得控除額のアップ 給与所得控除額 が変更(アップ)となるのは、サラリーマン全員ではなく、 給与収入190万円以下 の人だけです。 従前の 最低保障額 55万円が10万円増の 65万円 となり、その適用対象となる年収上限が、これまでの162.5万円→190万円へと広がりました。 「特定親族特別控除」の新設 たとえば大学生の子がアルバイトで年収103万円を超えると、親の所得控除(特定扶養控除)63万円がいきなりゼロになる・・・といういわゆる103万円の壁解消のため、 子の給与年収150万円以下なら親の63万円控除はキープ されることとしたのが 「特定親族特別控除」 です。 さらに、子の給与年収が150万円を超えても、188万円までなら何らかの控除はされることとなりました。 サラリーマンは年末調整で “控除額が変更になるということは、サラリーマンの場合、毎月の給与の源泉徴収額が変わるのか?”と...

給与計算と社会保険料率・雇用保険料率の変更 4月2025-社労士-

社保は令和7年3月分(4月納付分)から変更 会社等へ協会けんぽ愛媛支部からパンフレットなどで案内が届いていると思われますが、 令和7年3月分(4月納付分)から健康保険料率と介護保険料率が変更 されます。 天引きする社会保険料(健保厚生)合計は年齢によらず微増 いわゆる「健保厚生」の「厚生」年金保険料率はすでに18.3%/2=9.15%でMaxに固定。今回「健保」の健康保険料率が引き上げられ、 40才未満 の人は10.03%/2= 5.015 %→10.18%/2= 5.09% 、 40才以上 の人は介護保険料率は引き下げですが(10.03%+1.60%)/2= 5.815% →(10.18%+1.59%)/2= 5.885% と、年齢にかかわらず社保徴収額は微増となります。 「3月分(4月納付分)から」とは正しくはいつから? 保険料率の変更はこれまでにも何回もありましたが、給与計算をするにあたり 料率を変更するタイミング に悩んだことはありませんか?今回であれば、「3月分(4月納付分)から」って3月支給の給与なのかor4月支給の給与なのか、よくわからない・・と思っていないでしょうか。 健康保険法・厚生年金保険法どおりなら4月中に支給する給与から変更 健康保険法第167条・厚生年金保険法第84条には、給与から控除できる保険料は前月分である旨規定されています。給与計算ソフトの設定で言うと『翌月徴収』などのメニューを選択している場合で、これが法律上のあるべき源泉徴収方法です。 その場合、 今回の変更は4月中(4/1~4/30)に支給日がある給与から適用 となります。いつ勤務した分の給与か(対応労務期間)は関係なく、いつ支給された給与か(支給ベース)で考えます。 締日、支給日、支給サイトなどは会社によりさまざまで、同じ会社であっても勤務形態によって異なることもあり、考えれば考えるほどわからなくなるかもしれませんが、どのような場合であっても上記のとおり考えればOKです。 当月徴収していたら 給与計算ソフトの設定で言うと『当月徴収』メニューを選択している場合、原則の方法ではありませんが、実務上はよく見かける方法です。 もし 会社等が 「当月分社保料を給与から控除している」のであれば、今回の変更は令和7年3月中(3/1~3/31)に支給日がある給与から適用 となります。 雇用保険...

103万円の壁の改正 3月2025-社労士-

就労調整は結局どうなる? 給与所得者である本人(パートタイマー、学生アルバイト含む)に所得税がかからない給与収入(額面)としてイメージが独り歩きしている感のある“103万円”。 実際には、昔はともかく今では、改正前においても 限られたケースでしか家族(配偶者や親など)へのダメージは無く、多くの場合は壁など存在しませんでした が、このところ盛んに議論され、ようやく改正内容がはっきりしそうな状況となりました。 さて、今回の改正により、就労調整は結局どうなるのでしょうか? 学生アルバイト 学生アルバイト については、改正前は “103万円の壁”が実際に存在 していた可能性があります。それはたとえば、本人が学生でアルバイトをしていて、かつ、親の扶養に入っていた場合、アルバイト年収が103万円を超えると扶養を外れてしまい親の所得税等が大幅にアップする、そのダメージは大きく、家族として考えると不利なので、103万円までに収入をセーブ(就労調整)していた場合です。 このケースであれば、 改正により103万円の壁はなくなった と言えます。 改正後(令和7年分から)、親への影響(ダメージ)は 給与(バイト)年収150万円まで はありません。そして、では103万円の壁が150万円の壁になったのか?と言えばそうでもなく、150万円を超えても年収188万円までは何らかの控除はあります。「それを超えると大ダメージ!」(改正前の103万円)のような壁は無くなりました。 改正前からの配偶者控除・配偶者特別控除のようなしくみです。 家計補助のパートタイマー 家計の主な稼ぎ手(正社員等である配偶者)は別にいて、自分は補助的にパートをしているというケースで103万円の壁があるとすれば、 配偶者の会社等 から 103万円基準で配偶者手当 (or家族手当or扶養手当等)が支給されている場合に限られます。 理由は、配偶者については昔とはちがい、配偶者控除及び配偶者特別控除が改正前から存在し、税制上の 103万円の壁などそもそも無かった からです。 配偶者であれば改正前でも給与(パート)年収150万円までなら主な稼ぎ手の所得税等への影響(ダメージ)は無く、150万円を超えても年収201万円程度までは何らかの控除がありました。 今回、控除額が少し変わり、配偶者であれば 給与年収160万円まで なら主な稼ぎ手の所...

“自分で確定申告”のツボ 3月2025-税理士-

自宅からパソコン・スマホで簡単にe-Tax? 広報などを見ていると、これまで税務署等の確定申告会場に出向いたり、自宅で書面を作成して持参or郵送提出したりしていたものを、そのようなしんどい事をしなくても、 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」から誰でも自宅からのe-Taxで(ワンクリックorタップ送信で)提出できるようになっている!? と思わされます。 けれども実際に自宅から、たとえばパソコンで確定申告しようとすると・・・???そもそも入口がわからなかったり、その他モロモロのハードルがあったりして、なかなかうまくいかなかった・・という方もあるかもしれません。 現実に、今回、税務署の確定申告会場で申告相談・e-Tax送信などを担当しましたが、半数くらいの方が「自分でパソコンでやろうとしたが、やり方がわからず、あきらめてここへ来た」との事でした。 一体、何がハードルになっているのでしょうか? そしてどうすれば簡単にe-Taxできるのでしょうか? 雑多な準備が必要 まず、パソコン・スマホからe-Taxするには、一定の準備が求められます。 たとえば今、パソコンで申告書を作成しe-Taxで提出しようとする場合、パソコン以外に ・ マイナンバーカード ・マイナンバーカード作成時に設定した 「利用者証明用電子証明書用」パスワード (数字4桁) ・ スマホ ・ マイナポータルアプリ (スマホ等へインストール) あたりは、あることが前提で、作成画面が進んでいきます。 これらの準備が難しいor負担な場合は、作成コーナーは申告書を作るためにだけ使い、書面提出とするのもありかと思われます。 マイナポータル連携で入力不要? e-Taxの利点の一つとしてよく挙げられる“マイナポータル連携”ですが、実際のところ、使い勝手はどうなのでしょうか? 現在、連携での省力化は、部分的には可能かもしれませんが、ハンパな情報(医療費や生命保険料、ふるさと納税などで情報提供側がe-Taxに対応しているものだけ)を取り込めるとしても、そのための準備(マイナポータルでの連携設定など)のしかたがわかりにくく、今のところ、そこまでして連携すべきものではないかもしれません。 連携するかを画面の途中で質問されますが 「しない」を選択した方が時間の節約になるかも しれません(「する」を選択すると、マイナポータルと国税庁のサイ...

就業規則 2月2025-社労士-

就業規則作成の現状 “就業規則”と言うと「労働者(正社員、パート、バイト含)10人以上の事業場で作成し、労働基準監督署に届出しなければならない書類」で「10人以上なのに作成・届出していないと労働基準法第89条違反で罰則(30万円以下の罰金)あり」とは一応、知られているかもしれません。 就業規則は、その会社等の 全労働者に適用されるローカル・ルール です。 そして 会社等が労働条件や守るべき規律を定めて書面にし、労働者に周知することで法的効力 を持つため、労使間のトラブル防止にも役立つと言われています。 ですが現実には、 本当の意味で有益な、その事業場に合ったオリジナルな就業規則 を作成している会社等は多くないように見受けられます。たとえば過去に何かしらの助成金申請などの添付書類として必要だったので、社労士等へ依頼して標準モデル的な就業規則をとりあえず作成し、その後はあまり意識せず保管しているだけ・・という事もあるようです。 ちなみに10人未満だと作成禁止というわけではありません(義務はないというだけ)。 あいまいなままの方がよい? そして、 就業規則を作っていないor作っているが周知していない 事業場も、まだまだ多いようです。その理由としてよくある主張は・・ ・作らなくても、労働基準法の最低賃金とか割増残業代とかは一応守っているから支障ないのでは? ・年次有給休暇とか育児・介護休業とか、法令の定めは知っているが、できれば休ませたくないので周知したくない ・何かあった時には、人によって取扱いを変えたいので、画一的なルールは邪魔 などなど、ざっくりまとめると「あいまいなままにしておきたい、その方が都合がよいから」という事のようです。 ですが、 本当にそれで大丈夫でしょうか? 突発的な事態の想定 毎日、全労働者が模範的な態度で働き、ケガや病気をすることもなく、家族もいつまでも元気であれば理想的ですが、人間である以上、何かしら問題をかかえる事もありえます。そして 何か突発的な事が起こった時、就業規則に何も定めがないと職場は混乱し、困った状況に なるかもしれません。突発的な事とは、たとえば・・ ・身体のケガや病気でしばらく働けない ・メンタル不調で欠勤と出勤を繰り返す ・勤務態度の悪化(無断欠勤が続く、命令違反、職務怠慢、不正など) などなどです。 就業規則&周知の有無と対応...

令和6年分の確定申告 2月2025-税理士-

今回の所得税申告は2/17(月)~3/17(月)まで もうすぐ令和6年分の確定申告が始まります。 現在、個人事業者であれば、決算処理をして、所得控除(社会保険料控除や生命保険料控除等)の書類を収集中でしょうか。また、令和6年中に土地・建物を売却したなどで譲渡所得がある人は、その申告に必要な資料を確認中かもしれません。 申告期限 は今回、曜日の関係で 3/17(月) です(原則は3/15)が、期限を過ぎるとデメリットがあるため注意が必要です。デメリットとは、たとえば 個人事業者 で青色申告していて完璧な記帳&証憑管理をしていたとしても、 期限後申告になってしまうと青色申告特別控除の65万円(or55万円)は使えなくなる(10万円しか引けない) などです。 還付申告ならもう出せる ここで、還付を受けるための申告(サラリーマン等が住宅ローン控除1年目や医療費控除などの申告をすることにより、給与等から源泉徴収されている 所得税が戻ってくるケース 等)であれば、1/1~申告可能です。つまり 2/17(月)まで待たず今すぐ申告して大丈夫 ということです。 定額減税欄に注意 今回、申告書に 定額減税についての記入欄が新しく設けられてい る ので、記入漏れしないよう注意が必要です。 感覚的には、たとえばサラリーマンであれば“年末調整でやった(会社にやってもらった)からね~”と安心して記入を失念してしまうかもしれないのですが、 確定申告は年末調整の上書き 効果があるので、記入漏れがあると後々面倒なことになると思われます。 具体的には、 確定申告書第一表(1枚目)の右側の「令和6年分特別税額控除」欄へ人数と金額(3万円×人数)を記入 します。 記入にあたり予想される お悩みのツボQ&A としては・・・ Q1.自分は令和4年・5年は所得が少なく、市から 非課税世帯給付金 (3万円とか7万円とか)をもらっていたが、この 定額減税 欄へ3万円等と記入してよいのか? A1. かまいません。 3万円という金額が疑問を生むと思われますが、もらっていた給付金の対象者は“過年度の住民税非課税世帯”、目的は“物価高騰支援”、交付元は“市町村”であり、定額減税(令和6年分の所得税・住民税の軽減措置(所3万円/人、住1万円/人))とは別物だからです。 Q2.夫婦ともある程度稼いでいて、たとえば夫が定...

マイナ保険証と資格確認書 1月2025-社労士-

健康保険証の新規発行終了で何がどうなる? すでに令和6年12月2日以降、 マイナ保険証への移行 が始まっています。 巷では 「今後、健康保険証の新規発行はできなくなる」 と言われていますが、では、それにより具体的に何がどうなるのか?また、会社等での社保加入手続はどう変わるのか?よくわからない・・と思っている方も多いのではないでしょうか。 事業主(会社等or個人事業主)の義務は さて今後、新たに従業員を採用し健康保険加入手続を行う場合、事業主は何をどうすればよいのかと言うと・・ まずは 状況確認 です。 入社してくる従業員の状況はさまざまで、マイナンバーカードを作成している人もいれば、していない人もいるかもしれません。また、カードは作っているがマイナ保険証として使うための利用登録まではしていない人もいるかもしれません。 事業主(事務担当者)にとっては煩雑な作業となりますが、個々の状況を各人から聞き取りしなければなりません。 そして、マイナンバーカードを作っていないor作っているが健康保険証の利用登録はしていないなどの状況であれば、その人は マイナ保険証無し、すなわち(保険証として使える)資格確認書が必要な人 、ということなので、被保険者資格取得届等の資格確認書「発行が必要」チェックボックスへ チェックを入れて資格確認書を入手し、本人へ手渡す という手順になります(マイナ保険証があるなら必要ないのでチェックは入れない)。 チェックが誤っていたら 新入社員によっては、本人のマイナ保険証に関する認識があやふやなケースもあるかもしれません。そのような場合は、どうすればよいのでしょうか? 結論から言うと、誤っていてもオオゴトになることはないので、 とりあえず本人の返答にあわせてチェックを入れるor入れない、で大丈夫 です。 理由は以下のとおりです。 仮に、マイナ保険証あり(マイナンバーカードを作っていて、健康保険証の利用登録もしている)なのに、無しという返答だったとします。その場合、会社等としてはチェックを入れて資格確認書を入手し本人へ手渡すこととなり、微妙にダブっている感じとなりますが、実務上支障は無いと思われます。 また逆に、マイナ保険証が使えないのに使える、という返答だったためチェックを入れず、資格確認書を入手も手渡もしていなかったとします。この場合も心配ありません。なぜ...

法定調書合計表 1月2025-税理士-

 提出期限は令和7年1月31日(金) 「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」 の用紙が、すでに税務署から会社等へ届いていると思われます。“年末調整が終わったと思ったら、またすぐ次のハードルが!?”という感じかもしれませんが、法定調書合計表は、毎年この時期に作成し、 1月末日までに税務署へ書面またはe-Tax等で提出 しなければなりません。 作成を税理士事務所等へ依頼済みであれば、同封されてくる「・・・作成と提出の手引」等は不要で記載方法などに悩むこともないと思われますが、自社or自分で作成する場合には、手引を参照しながら行うこととなり、なかなか煩雑な作業かもしれません。 そのような時、 押さえておくと作業が楽になるツボ がいくつかあります。 たとえば・・ 給与所得の源泉徴収票合計表 法定調書合計表の1番目の枠が記入欄となっています。 一行目(区分A行)に何を書くかと言うと、 令和6年中に自社or自分(個人事業者)が支払った給与・賞与 について、その支給総額や支給した従業員数などを記載します。 ただし人数には丙欄適用者(日雇)はカウントしないこととなっています。退職者や乙欄適用者はカウントします。人数は原則、源泉徴収簿の枚数と一致すると思われます。 ここで、前職がある人がいるケースでは、 前職分は支給総額にも源泉徴収税額にも含めない ことに注意が必要です。 金額については、毎月or半年に一度作成している納付書(給与所得・退職所得の所得税徴収高計算書)(控)と照合 するとよいかもしれません。 そして三行目(区分B行)には、法人の役員で給与等が年150万円超、従業員で給与等が年500万円超、乙欄適用者で給与等が年50万円超など、一定の要件に当てはまり「給与所得の源泉徴収票」をこの合計表とともに税務署へ提出しなければならない人について、その合計人数と金額を記載します。 ここで、 一行目(区分A行)と異なるのは、対象者に前職のある人がいるケースの扱い です。 前職分も含めて記載 することとされています。ということは、 提出する人の源泉徴収票をそのまま集計すればよい とも言えます(対象者の源泉徴収票には前職分も含まれているため)。 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 法定調書合計表の3番目の枠が記入欄となっています。 よくあるパターンは、 税理士・社労士・司法書士...

就労調整のツボ 12月2024-社労士-

壁を超えたら何が起こる? 12月に入り、経営者や経理担当者がパートタイマーorアルバイト従業員から、今話題の“年収の壁”について「壁を超えたくないので就労調整したい」などの相談を受ける機会があるかもしれません。 が、さて、そもそも壁(その年収を超えたらパート・バイト本人orその家族に大ダメージが発生すると言われているライン)は本当に存在するのでしょうか? 結論から言うと、壁はレアケースでしか発生しません。 けれども、 就労調整する必要の無い従業員までもが「複雑でよくわからないから、とりあえず壁(103万円など)までにしておこう」くらいの感じで就労調整 しているというパターンが散見されるようです。 繁忙期の12月、年末にかけて、従業員から壁について相談を受けた時、正しい知識があればシフト調整に悩まされずに済むかもしれません。 それでは、あるある相談ごとに内容を見てみましょう。 「103万円の壁を超えたくない」と言われたら 本当に103万円の壁がある人とは・・・ ・配偶者(夫など)の勤務先から103万円基準で 配偶者(扶養・家族)手当 が出ているパート従業員等 ・ 親に扶養されている学生 アルバイト等 であり、レアケースと思われます。 よって、このフレーズを言われたら、まずは「あなたの配偶者の勤務先から手当が出ているか?」や「あなたは親の年末調整等の扶養に入っているか?」を確認し、該当しない場合には就労調整しても意味が無いことを説明し納得してもらえれば、シフト調整しなくて済む、という状況になります。 詳細はこちらをどうぞ。 就労調整103万円の壁の誤解 子がバイトしすぎたらどうなる? 「106万円の壁を超えたくない」と言われたら これはそもそも社保加入者が51人以上の会社等の話です。社保加入者が50人以下の会社等の従業員には、106万円の壁自体、存在しません。 さらに、社保加入者が51人以上の会社等の場合であっても、106万円を超えないかは残業代は含まず当初の契約内容から計算するため、このフレーズが出る場面は今のタイミングではなく雇用契約締結時(就職した時など)のはずです。 つまり、 今から就労調整しようがしまいが、従業員本人の社保加入判定には影響しない ので、調整は不要(というか無意味)と言えます。 「130万円の壁を超えたくない」と言われたら いわゆる“社保の扶養”...

給与支払報告書と定額減税 12月2024-税理士-

年末調整後も煩雑 会社等では現在、年末調整関係書類の回収が完了しつつあり、計算準備中かと思われますが、年調減税(定額減税)を乗り切った後には、 給与支払報告書(源泉徴収票)の作成 が控えています。そして、これもまた 年末調整と同じく定額減税の影響で、記載事項がさらに増え煩雑 になっています。 給与支払報告書の提出期限は来月末(令和7年1月31日)ですが、従業員等へ同じ内容の「令和6年分給与所得の源泉徴収票」を交付するのは、それより早い時期(早ければ12月中)です。 年末調整関係事務一式を外部へ依頼するのでなく自社等で行う場合、給与計算ソフトを使用するとしても、記載事項等について概略を理解しておくと安心です。大まかにでも内容を知っていれば、ミスがあれば気付く事ができるかもしれません。また、従業員からの質問に迅速に対応できるというメリットもあります。 記載事項 定額減税絡みで「令和6年分給与所得の源泉徴収票」の(摘要)欄へ記載しなければならない事項は、以下の3点です。 ① 源泉徴収時所得税減税控除済額 日本語なのか?と思ってしまいますが、これは何かと言うと・・・ 個人ごとに異なる、本人(従業員)の 確定した“定額減税額”のうち、年末調整において年調所得税額(源泉徴収簿の㉔欄の金額)から実際に控除した年調減税額 を記載します。 年末調整で実現できた(控除することができた)減税額です。 控除済額はその人の今年の年調所得税額がMaxなので、定額減税額全額が引ききれるとは限りません。仮に住宅ローン控除額の影響で年調所得税額がゼロの場合はゼロからは何も引けないので「源泉徴収時所得税減税控除済額 0円」と記載することになります。 ② 控除外額 本人の定額減税額のうち、 年末調整では控除しきれなかった金額(減税未完額) を記載します。 ①+②=確定した定額減税額となります。年末調整で全額控除できた場合は「控除外額 0円」と記載します。反対に、上記住宅ローン控除額がある場合などは、定額減税額の全額が「控除外額×××円」となることもあります。 ③ 非控除対象配偶者減税有 これもどこか他の国の言葉のようですが・・・・日本語です。 これは該当がある場合のみ記載します。 該当する場合とは、 合計所得金額が1,000万円超の本人について、同一生計配偶者(所得48万円以下)を定額減税のカウントに入...